日野市多摩平8丁目のブログ

主に日野市多摩平およびその周辺の歴史や話題を語ります

多摩平にいた大富豪・安田善衛(やすだよしえ)について

大正時代の初期に、立正佼成会豊田教会の地に別荘を建てて移り住んだ安田善衛は、安田銀行京都銀行第三銀行などの取締役を務めるなど、安田財閥の一翼を担いました。全国所得番付でも上位に名を連ねた指折りの大金持ちでした。

この豊田教会の地のほか、平山橋の近くにも別荘を持っていました。

安田善衛は趣味の人で、豊田の別荘には能舞台まで作っていたそうです。また篆刻も趣味であり、豊田駅改札口に飾られた木の看板は、善衛が寄贈したものです。この篆刻の「駅」の文字が旧字で、また右から左に読むものなので、今の人は「拝田豊」と読んでしまうそうです…

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まさに悠々自適、大正時代の貴族のようなお方だったようです。

教育活動にも熱心であり、豊田小学校の学業優秀者には「昭善」と彫られた桐の箱を「安田賞」と称して贈呈していました。この賞は、第二次大戦前まで続いたそうです。

立正佼成会への土地譲渡の時期は不明ですが、第二次大戦後はすでに安田善衛は、豊田の地にはいませんでした。善衛の没年は不明ですが、おそらくこの賞の終了と相重なるものと思われます。

※この原稿の参考

http://hino-museum.jp/wordpress/wp-content/uploads/2018/08/246124c66e68ca59ffeedc64e67d626a.pdf