多摩格差とは何なのだろうか
先日、昔の朝日新聞の記事で「多摩格差」という言葉を目にしました。美濃部都知事時代に初めて出てきた言葉ですが、現在でも小池都知事が都知事選挙の争点に「多摩格差」を取り上げています。多摩は、都心部から電車で1時間の距離があり、同じ東京都にいるにも関わらず「東京に行く」とかつい口走ってしまいますし、多摩川を越えると田舎に来たと感じることもあります。一方、通勤時間はかかりますが、都心部よりも安く広い家に住むことができます。場所によっては、豊かな自然に囲まれています。立川駅前は、都心に負けない都会の街並みに変貌しました。大型ショッピングセンターなども増えて、生活に不自由を感じることも少なくなりました。そのようなご時世ですから、漠然と「格差」といわれても、何が格差なのか答えられる人は意外に多くないと思います。改めて整理してみたいと思います。
かつての多摩格差
1975年には、東京都では具体的に以下の8つを課題として設定していました。
日野市に保健所を!と主張している向きも一部にありますが、これらの項目については23区内との格差はほとんど感じません。逆に多摩地区の方が、23区より充実しているものもあります。
現在考えうる多摩格差
一方で、自治体によっては以下の項目などで23区と差がついているものがあるかもしれません。
- 子どもの医療費
- 給食
- 学校のエアコン設置
- トイレの改装、ウォッシュレット整備
- 生徒へのタブレット端末配備
子どもの医療費については、23区と隣接している調布や狛江などでは、このあたりの苦情をよく耳にしましたし、現に実感もしました。それでも、以前よりは多摩側の制度改善が進んでいるように思います。
いかんともしがたい多摩格差
東京都知事でも、総理大臣でも解決困難である以下の項目こそ「格差」なのではないでしょうか。
■地下鉄
モノレールはできましたが、乗り換えの利便さを考えると、地下鉄がないのは何とも不便なところです。「八王子市営地下鉄」なるウェブページを見つけました。恩方方面に路線の拡張は無理でしょうが、なかなか秀逸な計画だと感じました。この地下鉄を作る際には、JR八王子駅と京王八王子駅の融合も考えてほしいものです。
■空港
羽田に比肩する空港も必要です。横田の軍民共用化問題は、国際政治案件なので世界情勢が変わらない限り、実現は訪れないでしょう…
■タワー
多摩地区に作る必要性は低いのですが、東京スカイツリー級のタワーが立川あたりにそびえたつと、23区に引けをとらない気分に浸れるような気がします。
■国公立大学医学部
東京の東側だけにあるのは、何とも不合理だと思います。
■歴史的な街並み
皇居の気品あるたたずまいや下町の風情などの歴史が作り出す街並みだけは、山野を切り開いた多摩には、いかんともしがたいものであります。デベロッパーが頑張っても、味がある街並みとなるには、あと何年も必要でしょう。