日野市旭が丘の漬物博士のとっておき秘伝
かつて、日野市旭が丘1丁目に小川敏男さんという漬物博士がおりました。私はご本人との接点などはありませんが、家の玄関に「漬物研究所」の看板が掛けられていました。
東京都農業試験場に勤務後、この「漬物研究所」を創設して、執筆、テレビ・ラジオへの出演、講演活動などをなさっていたようです。また、漬物の浸透圧の研究で博士号を取得されたそうです。
小川さんは数年前に他界されております。
そんな小川さんの数々の著作から「漬物博士の秘伝」で紹介されている話を、いくつか取り上げたいと思います。
■日本人が生野菜にこだわる理由
- 日本では、戦後の食糧難時代の困難の記憶から、生野菜を食べると健康につながると考えている人がいる
- 戦後世代の人たちは、日ごろ親から「野菜を食べろ」と言われ続けて育ったため、生野菜を摂取する必要性を叩き込まれている
- 戦後は、動物性たんぱく質の摂取を重視する風習があったが、一方で現代病を引き起こす原因を指摘されていた
- 肉、魚、野菜をバランスよく食べることの必要性が認識されてきた
- しかし、野菜については、ただ食べやすいものだけを食べ続けても、本質的な野菜の良さを獲得したことにはならない
- 漬物は、生では食べづらい野菜も見事に取りやすくしてくれる画期的な食べ物である。
■漬物食でビタミンCを補給する
- 大航海時代に流行した「壊血病」は、ビタミンCの欠乏が原因であった
- ビタミンC不足は、出血しやすくなったり、細胞組織を脆弱にする問題を引き起こす
- 漬物は、野菜に含まれる豊富なビタミンCを破壊してしまうという説がある
- ビタミンCは酸化に弱いが、8時間程度の浅漬けにすれば破壊はされない
- 浅漬けでなければ、漬物でのビタミンC摂取は有効ではないが、それでも雪国ではビタミンCの補給食品であった
- 補給食品の代表例が「野沢菜」である。2か月程度漬け込んだものでも、まだ20%のビタミンCが残っている
- ビタミンCは、ピーマン、高菜、野沢菜、キャベツなどの生で食べにくい野菜に多く含まれている。ビタミンCの総量が減ったとしても、長く保持して、おいしく食べられるのであれば、漬物にする意味が高いといえる